季節ごとのお手入れ How to 季節ごとのお手入れ How to

How to

日本の季節に合わせた
お手入れ方法

多肉植物のブーム到来にあたり、港ではさまざまな情報が飛び交うようになりました。中には誤った情報も見受けられます。弊社では、20年以上の生産経験をベースに、日本特有の季節変化に合わせたお手入れ方法をご紹介いたします。

3月・4月・5月のお手入れ 3月・4月・5月のお手入れ

  • 寒い冬が過ぎ、徐々に暖かくなる季節。年間通じて植物が一番生育する時期であり、可愛らしい多肉植物たちの元気な姿を見ているとワクワクしますね。そして、冬の時期に傷んでしまった株を再生、整形するのもこの時期です。
    植物が生育するためには、まずしっかり日光に当てることが大切。冬越しのため室内に取り込んでいた方は夜間でもプラス気温になってくるタイミングに合わせ、外に出します。
    ただし、いきなり強い日光に当てると葉焼けをおこす恐れがあるので、徐々に慣らしていきましょう。

    3月・4月・5月のお手入れ
  • また年間で植物が最も水を欲しがる時期であり、最低でも1週間に1回は水やりが必要になります。一番根元の葉をよく観察し、しわが寄るなど水分不足を感じたらたっぷり水を与えましょう。

    3月・4月・5月のお手入れ
  • 春は植物の生育時期と同時に生き物が動き出す時期でもあり、お手入れで注意したいのは害虫です。ハダニなど主にダニ類の殺虫対策で、定期的な殺虫剤の塗布が必要になってきます。そして気温が15〜25度くらいになると、カビ類をはじめとした菌類が増えてくるのもポイント。殺虫だけでなく殺菌対策も欠かせません。

    3月・4月・5月のお手入れ
  • この時期は花が咲く品種も多いのですが、枯れた花を放置するのは避けましょう。梅雨などで湿度が高くなると、枯れた花が水分を含みカビが生え、そこから多肉植物本体にカビ菌が侵入して腐る原因になります。ある程度花を見て楽しんだら、根元から3~5センチくらいを残してカットしましょう。その後1週間くらい放置すると、残した茎が枯れて根元からポロっときれいに取れます。花のお手入れは、梅雨の時期に入る前に必ずやっておきましょう。

    3月・4月・5月のお手入れ
  • 置き場所
    • しっかり日光を当てて管理し、過酷な夏に向けて強い肌 (葉)を作る。
    • 冬越しのために室内に取り込んでいた地域の多肉植物は、半日陰等から少しずつ日光に慣らす。
    • 急な直射日光は葉焼けを起こす原因になるため要注意。
  • 水やり
    • 水やりのタイミングは、一番根元の葉が柔らかくなったりしわが寄ってきたりしたとき。
    • 頻度は、品種や置く場所の日当たり、乾燥、温度によって異なるため、各個体の葉をよく観察する。
    • 与える水量は、鉢底から流れ出る程度。水やり後、数日間は自分の葉の水分を使わせる。
  • 病気
    • 一番多いのが灰色カビ病。他には黒斑病(黒点病)、さび病、炭疽病などに注意
    • おすすめは「ベニカXファインスプレー」(住友化学園芸)。ハダニ、コナカイガラムシなど害虫予防にも〇定期的に散布。
    • 「ベニカXガード粒剤」(住友化学園芸)は、根元にばらまいて使用。バチルス チューリンゲンシス菌は乾燥・高温低温に強く、灰色カビ病の予防にも〇

6月のお手入れ 6月のお手入れ

  • 梅雨に入ると日照量は少なくなり、雨が多く湿度の高い日が続きます。潤いのある多肉植物の姿もこれまた可愛らしいですね。6月以降梅雨が明けるまでは、年間で最もカビやウイルスなど病気にかかりやすくなります。

    6月のお手入れ
  • この時期は、キズがついた葉から菌が入り多肉植物が腐ってしまうケースが多く見られます。その原因は、ダニなどの虫に葉をキズつけられるだけではなく、花芽にもあるのです。
    花芽が伸びる時に葉と擦りあってキズがついたり、枯れた花芽を放置してそこにカビが生えたりすることで灰色カビ病にかかってしまいます。もし、まだこの段階で花芽が残っている方は、梅雨の晴れ間を利用して早めに取り除いてくださいね。

    6月のお手入れ
  • また多肉の成長点にほこりや水分がたまり菌が増殖し、葉に侵入して腐ることもあります。腐った葉はこまめにチェックしながら速やかに取り除きましょう。茎まで菌に侵された場合はそこからカットし、成長点が残っているものは植え替えて新しく作り直してくださいね。

    6月のお手入れ
  • 梅雨時期は、長雨で保湿しすぎて土の中に空気層ができない状態になり、根腐れの可能性があります。軒下など雨が当たらない場所で管理しましょう。
    またこの時期は適温(20~25度程度)にも関わらず日光が少ない状態。そこでさらに雨で水を含みすぎると、多肉植物は生育しようとして徒長し、形が崩れて体力の弱い多肉が育ちます。雨を避けて適正な水量を与えることが、きれいな多肉植物を育てるポイントです。

    6月のお手入れ
  • 置き場所
    • 雨が続く日は、軒下など雨が当たらない場所で管理する。
    • 日光が少ない状態で雨にあたりすぎる(水を与えすぎる)と、徒長して体力の弱い多肉に育つ。
    • 梅雨の晴れ間に強い日差しを当てると、葉焼けをおこす可能性あり。日光に慣れていない状態での直射日光には注意。
  • 水やり
    • 雨の日が続くため与えすぎないよう一番根元の葉をしっかり観察。
    • 湿度が高いため、水やりの頻度は少なくなる。
    • 多肉の成長点に水がたまらないよう、鉢元に水やりをする。もしくは底面吸水する。
  • 病気
    • 梅雨時期に多いのが灰色カビ病、スス病。黒斑病(黒点病)、さび病などにも注意。
    • 菌類は、光線量が少なく温度が適正な時に一番かかりやすい。必ず殺菌・殺虫を行う。
    • 「ベニカXファインスプレー」(住友化学園芸)を定期的に散布。

7月・8月のお手入れ 7月・8月のお手入れ

  • 暑い夏を迎え、多肉植物も小休憩の時期に入ります。日本の直射日光は非常に強いですよね。そして日本では夏の前に梅雨の時期があります。湿度が高く曇りや雨の日が続くと、せっかく日光に慣らした強い肌(葉)が徐々に元に戻ってしまうのです。そうなると梅雨明けの強い日差しを急に浴びたとき、葉焼けを起こしてしまいます。そのため、7月の梅雨明けは徐々に日差しに慣らしていきましょう。

    7月・8月のお手入れ
  • また、直射日光をカットしてくれる遮光ネットを使用するのもポイント。100均ショップなどでも販売されており、遮光率は50%~70%くらいで、少し影を作ってあげるとよいでしょう。ただし風が通るよう、少し浮かせた状態になるよう工夫してみてくださいね。
    夏場は葉が伸びて、形が崩れてしまうことも少なくありません。しかしまずは夏を越すことを大切にし、日陰に置いてでも葉焼けなどの痛みを抑えるよう心がけましょう。木漏れ日などもおすすめの場所です。

    7月・8月のお手入れ
  • 夏季はきつい直射日光のため、容器の色や材質によってその表面温度が変わります。色は濃いほうが熱の吸収は高いため、黒より白のほうが温度は下がりやすいです。また材質は金属系の温度が非常に高くなり、木は多孔質なので比較的低め。暑い夏を乗り越えるには、多肉を育てる容器の材質や色にも気をつけましょう。熱を遮断させるため、容器の内側に貼って使う「ルートプロジェクター」もおすすめです。

    7月・8月のお手入れ
  • 夏季には水を切ってしまう方もいらっしゃいますが、夏季には水を切ってしまう方もいらっしゃいますが、夏でも環境や天候により、多肉植物は水を使います。他の季節同様に、一番下の葉をよく観察して、葉がや柔らかくなったり少しシワが寄ったらたっぷり与えましょう。弊社のハウスでは、夏の気温が35度を上回る時など土の温度(根の温度)が高い時には水を与えて根鉢の温度を下げることで、植物の根の痛みを軽減しています。夏季も害虫対策は忘れずに。肥料は肥料焼けをおこす可能性があるため与えないようにしましょう。

    7月・8月のお手入れ
  • 置き場所
    • 梅雨明けは急な直射日光に当てると葉焼けしてしまうため、徐々に慣らしていく
    • 遮光率50~70%くらいの遮光ネットを使って強い日差しから守る対策を
    • まずは夏を越すことを目標に、木漏れ日の下など直射日光を避けて育てる
  • 水やり
    • 一番根元の葉を観察し、柔らかくなったりしわが寄ってきたりしたらしっかり水を与える。
    • 葉にかからないよう根元に水を与える。
    • 水を与えることで根の温度を下げる効果もあり。
  • 病気
    • ハダニ類、コナカイガラムシなど害虫に注意
    • 「ベニカXファインスプレー」(住友化学園芸)を定期的に散布
    • 夏は肥料は与えない。肥料焼けなど障害が出る可能性があるため

9月・10月・11月のお手入れ 9月・10月・11月のお手入れ

  • 暑い夏が終わって秋に入る時期。温度は夜間から徐々に下がり始め、昼と夜の温度差が開いていきます。昼間は暑くても夜は涼しいので、どんどん元気を取り戻す多肉植物たち。
    この時期は夏に傷んだ多肉が再び生育する時期でもあり、まさに多肉植物「本番」の時期、そして紅葉期の到来です。
    これまで夜間でも25度以上あったのが18、17度と下がっていくと、例え昼間に20度以上あっても寒暖差で多肉植物は秋を感じます。最低気温が下がると多肉植物は葉を伸ばさなくなり、葉がギュッと詰まった「ロゼット」と呼ばれるバラのような美しい形に近づいていくのです。

    9月・10月・11月のお手入れ
  • 夏場に一度伸びてしまった長い葉は、元には戻りません。この時期に新しく出てくる葉は短い葉がどんどん展開してきます。ある程度、短い葉で形がが整ってきたら、夏に伸びた葉を取り除き形を整えます。夏に形が乱れてしまった多肉植物を綺麗な姿に整えるのも、大きな楽しみのひとつでしょう。
    また、この時期は多肉植物の紅葉期。紅葉させるには寒暖差と共に、しっかり日光に当てること、肥料を与えないこと、水を多く与えすぎないことがポイントです。言い換えれば、多肉植物が活発に成長しようとすると紅葉が進みません。

    9月・10月・11月のお手入れ
  • そして、美しいロゼットの形を春、夏まで保つためには、秋の植え替えがおすすめです。なぜなら、秋に植え替えると冬にかけて、しっかり根が伸びます。冬季はロゼットの美しい形と綺麗な紅葉が進みます。やがて春になりますが、根が完全に鉢に張り詰めた状態になると、生育スピードはゆっくりになります。根が十分に張れる状態であれば春から夏にかけて大きく成長しますが、根が張るスペースがなくなると成長が鈍化するので冬に形成した美しい姿を崩すことなくきれいな姿を保てます。

    9月・10月・11月のお手入れ
  • 秋はコナカイガラムシがつきやすい時期なので、消毒を怠らないようにしましょう。

    9月・10月・11月のお手入れ
  • 置き場所
    • しっかり日光に当て、寒暖差に当てる
  • 水やり
    • 涼しくなった適温期は生育も盛んになり水も欲しがる時期
    • 春と同様に一番下の葉を観察しながら水を与える
    • 秋は水を与える頻度が多くなる
  • 病気
    • 秋は特にコナカイガラムシがつきやすい時期。消毒は忘れずに行う
    • 「ベニカXファインスプレー」(住友化学園芸)を定期的に散布
    • 「ベニカXガード粒剤」(住友化学園芸)は、植え替え・生育時期に根元にばらまいて使用。春・秋に使用。

12月・1月・2月のお手入れ 12月・1月・2月のお手入れ

  • 冬季は多肉植物の美しい姿が楽しめる嬉しいシーズンですね。この時期は地方によってお手入れ方法も大きく変わってきますが、温度は0度をベースに考えます。夜間だけ0度を下回る場合、夜間だけは屋内の玄関など暖房がかかっていない場所に取り入れて管理しましょう。太平洋沿岸などの温暖な地域であれば、ずっと屋外で育っている多肉植物ならマイナス2、3度まで軒下などでも冬の寒さに耐えられます。この時は霜よけ、保温のために1枚ビニールをかぶせておくとよいでしょう。多肉植物は雪よりも霜に弱いため、霜対策は大変重要です。

    12月・1月・2月のお手入れ
  • また本格的な冬になると、昼間でもマイナス気温になるような地域も出てきます。この場合、暖房のかかっていない明るい窓辺に置きましょう。 北海道など全館暖房の地域では、窓辺など冷気が当たる場所、できるだけ光が差す場所に置くといいですね。

    12月・1月・2月のお手入れ
  • 秋から徐々に寒さに慣れていった多肉植物は、冬にも耐えられるように育ちます。その一方で急に暖かい場所から0度の場所に移すなど、慣れない急激な温度変化には注意が必要です。例えば店内にあった多肉植物を購入してきた場合、急激な外の寒さに耐えられないことがあります。この場合は夜間は屋内に取り入れてあげて、徐々に寒さに慣らしてあげましょう。
    なかには寒さに弱い品種もあります。簡易温室やできるだけ暖房がかかっていない場所で冬越ししてくださいね。

    12月・1月・2月のお手入れ
  • 冬季、屋外で育てている多肉植物には水やりの回数、量を控えましょう。たっぷりと水を含んだ葉を凍らせてしまうと、葉の水分が凍り、体積が増えるために組織を破壊させ痛めてしまいます。

    12月・1月・2月のお手入れ
  • 置き場所
    • 秋季の育て方や環境によって個体の強さが変わるため、状況に応じて屋内・屋外に置く。
    • 基本は0度をベースとし、屋内であっても暖房がかかっていない場所を選ぶ。
    • 日中など外気がプラス気温になれば、外に出してしっかり日光に当てる。
  • 水やり
    • 葉にしわが寄って柔らかくなったら、少しだけ軽く水を与える。ポットの土の容量の3分の1くらい。
    • 置き場所、環境によって水やりのタイミングは異なるため、それぞれの個体の葉をよく観察する。
    • 屋外で育てている多肉植物の水やりは控える。
  • 病気
    • 冬季は虫は出にくく、病気にもなりにくい時期
    • 肥料なども不要